ドイツやオランダを始めとするヨーロッパでは昨今、古い農家や納屋、そして厩舎などをモダンな住宅へとリノベーションするプロジェクトが大流行しています。それも不思議ではありません。なぜならこれらの改修の結果、建物は本当に魅力的で印象的なものに生まれ変わっているからです。もしあなたが特別な個性を持つユニークな住宅が好みだというなら、伝統と洗練されたトレンドが融合したオランダ人建築家Tim Versteeghが手掛けるプロジェクトがぴったり。今回は彼が手掛けたものの中から、オランダ・ホーンホルストの農家のリノベーションを紹介します!
こちらは改装工事前の古い建物。 レンガ造りの外壁、赤い切妻屋根と小さな窓というこの地域における典型的な農家です。 建物は以前一部が厩舎&納屋としても使われていたメインの住居と、小さな別棟という構成。
そしてこちらが改装後。重々しく暗い印象だった外観が、明るく軽やかでモダンなものへと大きく変わりました。外壁に使用されていた年月を経た赤いレンガは、光沢のある白で塗られ明るく滑らかな表情に、小さかった開口部は自然光をたっぷりと取り込むことができる大きな窓へと変換。 ポイントで木材を使用することで、ナチュラルさや温かみもプラス。
こちらは別棟。以前は窯のあるスペースだったのが現在はゲストルームとなり、専用シャワーや直接アクセスできるテラスを完備した快適な空間に生まれ変わりました。 こちらのベッドルームからはフローリングの廊下を通り、右側にあるメインの住居にアクセスが可能です。
こちらはフロントドアからリビングルームへと通じる細い廊下。 壁&床&天井という四方全てを木材で統一、そして敢えて狭く暗く作られた空間が独特の雰囲気を醸し出しています。左右どちらの壁面もシームレスに見えますが、実はゲストルームへつながるドアとゲスト用トイレが設置されています。 暗い廊下の先には明るい空間とミニマルなデザインの螺旋階段が覗き、この先に続く空間にいやが上にも期待が高まる廊下です。
そして廊下を抜けるとあるのがここ、メインの住居の一階部分です。 控えめな中間色でまとめられた明るく広々としたリビングルームは、きりりとした直線による構成。そこに柔らかさをプラスしているのが優雅な曲線を描く螺旋階段です。しかしミニマルな黒いラインなので空間がもたつきません。そして先ほどの廊下をリビング側から見るとこんな感じ。まるで森につながる小径のようですね。木製の廊下は自然の温かみを感じさせ、視覚的にも機能性においても重要な構成要素となっています。
キッチンは旧厩舎の翼の部分に当たり、大きな開口部が印象的な空間です。他の部屋に比べて低い天井は過去の歴史に敬意を払い、新しく上塗りせず現しの木目が生かされたものになっています。全体的には無駄を削ぎ落としたミニマルスタイルでモダンに作られたキッチンに、この天井が素朴さと年月を経た木材の味わい深い趣をプラスして、刺激的なコントラストを描くスタイリッシュで魅力的な空間となっています。
ダイニングルームは建物の旧厩舎に位置しています。一階の各部屋は、すべての中央コアとしての階段の周囲に配置されており、オープンプランでも機能的な動線を持ったレイアウトとなっています。大きな窓は内部と外部空間とをスムーズにつなぎ、景観の良さはもちろんのこと、いつも自然光が満ちた明るいリビングルームとなっています。